雪の夜



  雪の夜
 ※アス×……セシルでも、ルーナでも、お好きな方を当てはめてどうぞ☆







 風のない夜の雪は音を吸収する。
 青銀の静寂の中。聞こえるのは二人分の呼吸と、その小さな背中を包んだ身体越しに響く鼓動。上下する微かな衣擦れ。肌がこすれ合う僅かな音。

 するすると滑らかな指先を、意味もなく撫で続けていた。
 二人分のぬくもりで心地よく暖まった毛布の中。まるでここだけ、全てから切り離されてしまったかのような夢心地。
 ああ、独りで眠っていた冬の夜とは違いすぎる。そう思った。
 時間をかけてもなかなか暖まらない褥、寝返りを打つたび、凍てつくようなシーツの感触に冴える視界。ここにはそれが無い。
 背中から抱きしめたあたたかな身体はまるでクッションのように柔らかく、しっとりしたその重みが安心感を生む。
 洗い立ての金糸の髪が時折、ふわりと香る。その清涼感と甘さが、まるで麻酔のように全身の感覚を奪い去る。

 夢と現の境で、ぼんやり薄れて行く意識。
 その中で不意に、指先を撫でていた手が阻まれた。顔を上げ、重い瞼を開けて見るとその指先が、繋げとばかりに無言でせがんでいた。
 あえて黙っていると焦れたのか、爪でカリカリと二度、手の甲を掻かれる。その子供じみた仕草に負け、手を返して指の間に指を通し、緩く力を込めてやった。
 そうしてやると満足したのか、強張っていたその身体は再び解けて沈む。ややあって、繋いだ指をきゅっと握り返してきた。
 その加減が愛おしかった。
 髪にそっと唇を落として、もう少し強く身体を押し付ける。
 身体越しに伝わり合う鼓動が、先ほどよりも少しだけ、早まった気がした。

 窓の向こうでは、宙舞う粉雪が音も無く、月の光でちらちらと輝いている。

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