SS ロレムン③

 ロレムンSS③
 妄想全開!
 アスに最後のセリフを言わせてみたかった。

 ※連載の二人とはちょっと別軸になります。

「俺は、自分の使命を理解しているつもりだ。ハーゴンを討伐し終えた今、俺はローレシアに帰り、国を継ぐべく責務を果たす。貴女も、ムーンブルク復興に向けて従事する」
「……ええ。だから、二人きりで会えるのは今夜で最後だわ」
 ルーナは一度瞬きし、胸元で握りしめた拳に力を込めた。今言えなければもう二度と、彼に触れる事は叶わないのだから。
 決意に濡れたポピーレッドの瞳が、真っ直ぐにアスを映して儚く煌めく。
「だから、今夜だけでいい。貴方のぬくもりに甘えさせて。これから……貴方と離れても、強く生きていけるだけの勇気が欲しい」
 告げて、ルーナは早鐘の鼓動に震えが止まらなかった。その性格上、彼はおそらくのってこない。それでも言わずにはいられなかった。
 返答を待つ僅かな、しかし久遠の様な一瞬。
 アスは、その冷たい色の瞳を僅かに動かしただけ。反応はそれだけだった。
 やはり、こんな最後の夜でも彼は……。
 羞恥と落胆でそっと伏せた、ルーナのまつ毛が小さく震える。
(どうせ断られるなら、こんな想いなど氷点下まで凍らせて、突き落として砕いてくれた方がいい。この、浅ましさなど粉々にしてしまえばいい……っ)
 そう思うのに、何故だろう。自分の瞳が熱を持ち、あっという間に頬をこぼれ這う雫の感触。
 沈黙が断りなら、これ以上ここにはいられない。銷魂の決別を告げようと、うつむいていた顔を上げれば、アスはこちらを見つめていた。
 言葉無く視線を合わせれば、アスは、細く長い息を吐き出し、その沈鬱が僅かに綻ぶ。
「そんな顔を、するな」
「だって」
 彼はおもむろに手を伸ばし、頬のあたりに揺れるハニーブロンドの髪を一房指に絡め取った。触れられていた髪が、さらりと解れていく。アスの指先はそのまま頬に触れ、微熱を伝える。
「……貴女に」
「……え?」
「貴女にそこまで言わせてしまった。この不甲斐無さを赦してほしい。――それが欲しいのは、本当は俺の方だ」
 ルーナは無言で、とつとつと話しだすアスを見つめる。
「ただ、俺は……貴女に触れたら、責務を捨てて貴女を連れ去るかもしれない」
 冗談を言わない性格なのは知っている。瞠目していると、アスは初めてその瞳に表情を浮かべる。緩い光沢を帯び、薄いその色に熱が入り込む。
「……そんな事はしないって、私は分かっているわ」
 思わず漏れた笑みに、アスは苦笑した。

「貴女にはかなわない。……どうか、今宵を共に。
 俺も、貴女が欲しい」
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